はじめに
特定建築物調査員と聞いても、「どんな仕事をしている人?」と思われる方がほとんどかと思います。
ですが、実際のところ特定建築物調査員は私たちの生活を守るため重要な役割を持つ仕事です。
建物が特殊建築物に指定された場合、その規模により年に1度と3年に1度、定期調査報告が必要なものに分けられます。
いずれの調査についても調査専門の企業や機関に依頼した場合膨大なコストがかかるため、特定建築物調査員に依頼することでコストが下げられるメリットがあります。
そんな、特定建築物調査員の仕事内容やシニア世代が特定建築物調査員として転職する際に重要なポイントなどを解説します。
特定建築物調査員とは
マンションや映画館、デパートやホテル…など、不特定多数の人が利用する建物は利用する人の安全性を保つため建築基準法により定期的に検査を行って報告しなければならないと建築基準法で決まっています。
大規模な建築物では事故や災害が起こると老朽化などで大きな災害が起こる可能性があるからです。
このような災害や事故などが起こらないよう建物の適法性や安全性を保つため、建築基準法により専門家による定期的な調査と報告が義務付けられているんですね。
特定建築物調査員は国家資格の1つで、これらの調査や点検を行い報告できる資格です。
特定建築物調査員の重要性
特定建築物調査員により行われる調査や検査は建築物の異常などで事故や損失を防ぐために行われており、特定建築物調査員により毎年もしくは3年に1度定期的に調査や点検を行い、異常の有無について行政庁に報告が義務付けられています。
もし、なんらかの異常が見つかったら、建物を所有する人や管理する人に報告し、改善を求める役割があり、制度の最大の目的は第三者が建物の調査や検査を公正に行うことで安全性を確認し報告することです。
最近、特に手抜き工事や耐震工事の偽造問題などがクローズアップされさまざまな建物でトラブルが発生しています。
私たち一般の人間から見ると全く問題なさそうな建物であっても、その中の状態が本当に安全なのかどうかまで知るよしもありません。
だからと言って、そのまま放っておくと大きな災害が起こるかもしれませんし、最悪の場合人命に関わる事態が起こる可能性もあります。
そういった災害やトラブルが起こらないよう、特定建築物調査員などプロにより建物の安全性を確認してもらい、不具合があれば改善することが非常に重要とされています。
特定建築物調査員の仕事内容
では、特定建築物調査員の具体的な仕事内容について見ていきましょう。
建物をプロの目で調査し報告する
特定建築物調査員はプロの目でさまざまな建物の不具合や劣化状況、問題がないかどうかを確認し改善の必要があればどのくらいのコストがかかるかを見極める仕事です。
さらに、調査が終わるとその内容や見解を所有者や管理者に報告します。
この報告書により、建物の所有者や管理者は建物を修繕する箇所を特定できたり、維持管理方法などを知ることができます。
不動産を売買契約する際の物件を調査する
2018年4月の宅建業法の改正により、建物の状況調査の説明が義務付けけられました。
その内容としては特定建築物調査員が計測や目視などで建物がどういう状況なのか正確に報告し、建物の購入を検討している人が購入するかどうか判断する材料とすることが可能です。
中古住宅の流通を促す
わが国では少子高齢化が進んでおり、人口減少が加速しています。
現在、わが国の空き家は800万軒を超えるとされているため、国をあげて空き家解消や中古住宅への住み替え促進を行い、特定建築物調査員が中古住宅の調査を行うことが必要不可欠となっています。
特定建築物調査員の資格を取得するメリット
では、特定建築物調査員の資格を取得すればどのようなメリットがあるんでしょうか?
特定建築物調査員は特殊構築物に関するプロとみなされるため、さまざまな場所で活躍することができるでしょう。
私たちが利用する商業施設などの建物では特定建築物調査員が点検や調査を行っており、この作業ができるのは有資格者のみとなっています。
一般の人にはできない仕事ができるというのは特定建築物調査員の強みではないでしょうか?
転職の際有利になる
特定建築物調査員の資格を持っていると、建築設備会社などへ転職しやすいです。
もし、人材を募集する際、無資格の人より特定建築物調査員の資格を保有する人を優先するのは間違いないでしょう。
特定建築物調査員の資格を保有しているということは建築関連の知識があるという証拠となりますので、転職の際有利になり資格手当がつく場合も多いのもメリットです。
シニアの特定建築物調査員が転職する際のポイント
では、特定建築物調査員の資格を持っているシニア世代が転職する場合、どのようなことにポイントをおけばいいんでしょうか?
中高年向けの転職サイトを利用する
中高年の特定建築物調査員が転職する際、若い世代と違い年齢がハンディになるのは仕方のないことです。
ただ、年齢が高いということがデメリットだけというわけではなく、経験の豊富さや人脈の広さなどメリットとなることもあります。
まず、幅広い年齢層が利用する転職サイトに登録し、加えて経験を積んでいることが有利とみなされる求人を扱っているサービスを利用することで、転職をスムーズに進められる確率が高くなります。
もし、こういったサービスを利用せずライバルたちが利用していれば、明らかにどちらが転職に成功するか決まってますよね?
シニア世代の特定建築物調査員がスムーズに転職するためにはより有利な方法で転職活動を行うことがポイントなんですね。
転職エージェントの活用を
最近、民間が運営する転職サポートサービスの数は増えるいっぽうで、中には特化型のサービスも増えつつあります。
そういった転職サポートサービスを1つでも多く利用することで転職のチャンスを逃す確率を下げることが可能です。
たとえば、シニア世代を対象とした求人は高いスキルや特定の能力を持つ人を求めるものが多いです。
このような特定の人材をスカウトしたり、オファーするのが転職エージェントです。
さまざまな経験を積んだり、スキルを持つ中高年と言っても、未経験のジャンルについて知識が豊富なはずもありません。
ですが、転職エージェントはさまざまな求人についての知識と情報を持っているため、知らない分野においての情報提供や個別に相談に乗ってもらえることは転職活動を行う上で非常に心強いかと思います。
また、転職エージェントを利用すれば一般の転職サイトに掲載されていない非公開求人を紹介してもらうことができるため、より効率よく条件のいい転職先を探すことが可能です。
さらに、転職エージェントなら企業研究や自己分析など以外にも職務履歴書の添削やさまざまな転職についてのサポートが受けられます。
面接の準備や面接後のサポートなどが受けられるのも転職エージェントならではのサービスです。
転職サイトの場合だと希望する転職先の雰囲気や人間関係などまで教えてもらうことは難しいですが、転職エージェントだと可能なことが多く、より転職後のミスマッチを防げます。
シニア世代の方が転職する場合、ほとんどが仕事をしながら転職活動を行うかと思います。
そうなると、いくつもの企業との面接の約束があり日程スケジュールの調整が難しいかと思います。
転職エージェントならそういった面接日程の調整まで行ってくれたり、転職後の収入についての交渉や入社時期の調整まで代行してくれます。
また、中高年にとって、勤務条件は非常に重要なポイントですが、自分で相手と交渉するのは難しいです。
自分の代わりに転職エージェントが交渉や調整を行ってくれるのはかなりメリットかと思います。
キャリアアドバイザーを見極めよう
転職エージェントの活用がどれだけメリットがあり重要なのかお分かりいただけたでしょうか?
転職エージェントを利用する際に重要となるのがキャリアアドバイザーがどのような人かということ。
優秀なキャリアアドバイザーの特徴はさまざまですが、最も重要なのが働く人の立場に立てるかどうかです。
転職先を決めるのが最優先ではなく、転職を希望する人の気持ちに立ちアドバイスやサポートできることが最も重要なんですね。
もちろん、キャリアアドバイザーは人材を募集している企業に人材を紹介し利益を得るのが目的ですが、利益を最優先するようなキャリアアドバイザーは信頼できると言えません。
こちらの立場に立って、親身に相談に乗ってくれる人を選ぶべきでしょう。
キャリアアドバイザーを選ぶなんてできないのでは?と思われるかと思います。
ですが、転職エージェントのほとんどが1人ではなく複数のキャリアアドバイザーを抱えているのが実状ですので、自分に合わない、親身になってもらえそうもない…と思ったら、別のキャリアアドバイザーに変えてもらうことも検討しましょう。
もし、いくらコミュニケーションを取ったり、相談してもダメだな…と思ったら、担当者の変更を希望してみることをおすすめします。
それでもダメならその転職エージェントを利用するのを止め、別の転職エージェントを利用すればいいでしょう。
まとめ
特定建築物調査員の仕事内容や重要性、シニア世代が転職する際の注意点などをまとめてみました。
さまざまな特定建築物の調査や報告が可能なのは特定建築物調査員だけと決まっています。
つまり、特定建築物のプロと言っていいでしょう。
建築基準法の見直しにより、今後ますます特定建築物調査員の需要は増えると考えます。
ただ、中高年の特定建築物調査員が転職をスムーズに進めるにはポイントをおさえておく必要がありそうです。
ここでご紹介したことを理解した上で、効率よく転職活動を進めてくださいね!